読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

とんび 親が子に思うこと

重松清の「とんび」を読んだ。ドラマ化もすでにされていて、人気作品でありずっと読もう読もうと思っていたがなんやかんや読めずにいたが、ついに読んだ。


まさに名作。誰にでも薦められるし、学校の教材としても使えるような温かい話である。ざっくりした内容としては、よく田舎にいそうな頑固で不器用な父親(ヤスさん)と出来の良い息子(アキラ)の物語。


元々はヤスさんとは対照的な妻がいたのだが、事故でアキラを庇い死んでしまう。父親一人で息子を育てるヤスさんの葛藤、不器用さ、周囲の人間の温かさに泣ける。

幼少、小学生、中学生、高校、大学、社会人とそれぞれのエピソードで章が構成されているのだが、そのどれもが凄く温かい。一見普通の家族の話なんだけど、ヤスさんと周りの人の人となりが魅力的。

私が一番好きなのが、アキラが早稲田に受かって地元を離れる所。中学時代は人並みに反抗期に入っていたアキラもこの時期には立派な青年になっていて安心して見ていられるのだけど、逆に子離れできないヤスさんは自暴自棄になったりして。最後の最後にちゃんとアキラに向き合えないヤスさん、それでもヤスさんに感謝の気持ちを伝えるアキラの健気さ。感動するしかない。


他の章も素晴らしい話ばかり。不器用なヤスさんの愛だけど、アキラにちゃんと伝わって良かったなと思うし、最後にヤスさんが言う親がやらなきゃいけないのは子供に寂しい思いをさせない事だけだというのも納得できる。今の若い子らに是非読んでほしいし、私ももっと早く読んどけば良かった。


私も親と離れて暮らすようになって久しい。大学3回生の頃からだからかれこれ6年程。私はアキラのようにちゃんと感謝もできなかったし、当時は自分の事ばかり考えていた。今思えば最悪だったし、親とまともに向き合えるようになったのもここ2年程である。本当に恥ずかしい。

私もヤスさんに負けない程不器用であった。心配性なのもなんか嫌っていうのもあったけど、大体はくだらない自分のプライドで素直に話せなかった。

とんびの家族程ではないが、私も両親や親族の中では毛並みが少し違う。私以外は保守的に暮らせればいいというか保守的な人ばかり。大学も行く必要ないと言われた時期もあったし、地元就職も促された。私は逆に勉強とかはしたかったし、大学で地元以外の知り合いと出会いたかった。そして、大学に入って色々な人と出会い、やっぱ全国区の企業で働きたいと思ったものだった。


実際私は全国転勤がある今の企業に就職し、地元を離れた。最初の配属で埼玉に行く際はもう色々心配されたものだった。

親以外の親族とはもう何年も会ってない。秋田はさすがに遠いし、仕事柄連休も一般企業と違う。一人で行っても久しぶり過ぎて相手が自分の事を覚えているかどうか。

しかし、父親が定年後はもしかしたら母親は秋田に住むかもしれない。その時は秋田まで会いに行きたいと思う。


それじゃなくても、ここまで自由にやらせてくれた両親にもっと親孝行しないとなと思った。