読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

連載①

「序章」

今私が働いているこの学校には様々な問題がある。ちょうど半年前、行き過ぎた体罰により男子生徒が自殺した事は全国のニュースで取り上げられた。この事件をきっかけに、この国ではいじめや教師による体罰が社会問題になっている。今の教育業界は腐っている。

私はこの春から大阪市立難波高校の教員として働く事になった。歳は28、某大手メーカーで若手の出世頭とされていたが、日々周りを蹴落として行かなければならない社風、外面ばかり良くなる営業の仕事に疑問を感じ、かねてから興味があった教職の門戸をくぐった。


年収は半分程にまで落ちるが迷いは無かった。いじめや体罰による自殺が毎日のように報道されるこの時代、これ程やりがいがある仕事は無い。なんとかして生徒らを救う、そして古い体質のまま腐りきったこの教育業界を変えてやる、その気持ちは自分自身でも不思議な程本物だった。


また、私の住む大阪では、市長による積極的な教育改革が進められようとしていた。市長は民間企業出身の教員を求めた。そんな市長の目に止まり、今一番問題のあるこの学校に選ばれた。求められているのは、外部から見た問題点の追及と、古い体質からこの学校を脱却させる事。私は大企業で揉まれ、勝ってきた。だから、自信があった。しかし、それからの闘いは私が思っていた以上に苦しく、辛いものであった。