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ひそやかな花園 角田光代

角田光代のひそやかな花園を読んだ。心にはあまり残らないけど、良作だった。

角田光代といえば家族の話。今回も他作に違わず、家族をテーマに書かれている。設定的にはまぁリアルと言えばリアルだし、非現実的だとも言える。そういえば、以前他の作家のキリンを読んだが、それに設定はよく似ている。


簡単なあらすじを言うと、主人公が小学校の頃、毎年夏になると複数の家族で集まり、別荘でキャンプ的な事をしていた。子供達にとっては年に一度しか会えない仲間だったけど、それぞれに思い出は強く、普段通っている学校よりも、そちらの方が楽しいと感じる子供もいた。が、ある子供達が結婚式をやろうとキスをした時から、その集まりは無くなり、親達もその話をしなくなった。


その後、参加したそれぞれの子供達の成長を描きながら、真相が徐々に明らかになっていく。結論、当時参加した親達は皆精子バンクで子供を作った家族の集まりで、同じ境遇の人同士で交流する場として始まったのだった。


内容としては軽く無く、出てくる人間が妙にリアリティーがあり、それもなんかスラスラ読ませてくれないのだけど、それぞれの子供達の目線で代わる代わる話が展開していく為、飽きさせない。さすがである。


さて、子供が欲しいのにできない境遇になった時、自分ならどうするか。これは想像できない。パートナーがどう考えるかにもよるし、自分と血が繋がっているかなんか私の今の性格ならそんなに気にしない気もする。

ただ、子供の立場で、もし自分の親が血が繋がっていないと知ったら、確かに産みの親はどんな人なんだろうと気にするとは思う。気にすると言っても、興味本位ぐらいだろうけど。

私は基本的に合理的なので、血の繋がりとかどうでもいいと思うし、育ての親が本当の親って事でいいんだと思う。ただ、なんやかんやこういった話が多いのは、実際そういう境遇にある人はやはり葛藤したりするからだろうか。


私が好きな作品に伊坂幸太郎の重力ピエロという話がある。作品の軽やかさに比べ設定的にはレイプされた子供を産むから、かなり重い。この作品は遺伝より環境というスタンスを取り、家族の絆になかなか感動する。今回のひそやかな花園はどっちの立場を取る訳ではなく、ただリアルにそういった境遇を描いている。

特に親のそれが凄くリアルだった。それぞれの家族を描いている為、様々なパターンがあるのである。ある親はより優秀な種を選ぼうとした事を後悔し、結局離婚してしまう。ある親は子供ができた事を心から喜び愛情を注いだ。

子の育ち方も親に多大に影響を受ける。それもなんかリアルだった。

私はやはり遺伝よりも環境だと思う。その人がどんな人生を歩もうが、大体の事は本人の努力で何とかなる事だと信じている。生まれもっての才能なんて関係ない。だから、万が一自分と血が繋がっていない子供を持つような境遇になっても、愛情を注げると思うし、そんな父親になりたい。