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木質バイオマス発電①

http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4041105129/ref=redir_mdp_mobile

里山資本主義について書かれた本書を読んだのだが、私的には里山資本主義うんぬんよりも、木質バイオマス発電に関しての銘建工業とオーストリアの事例に特に関心を持った。

里山資本主義というのはまぁ平たく言ってしまえば自給自足の世界を目指す事だ。マネー資本主義の墜落と比較し、これからの日本はエネルギーに限らず様々なものを自前で補う事で海外から無駄に輸入しているものを削減し、新しい時代に合った暮らしを目指せるという内容である。里山資本主義が浸透すれば貨幣のみならず、個人間の信頼でやりとりされる物々交換も行われるようになり、震災が発生して物流が麻痺しても食料等の備えができる。


本書では主に田舎の中でそう言った自給自足的な里山資本主義を実現している人や企業を紹介し、今の日本社会に疑問を投げ掛けている。なるほどと思う部分もあるし、実現は難しいだろうと思う部分もある。しかし、今回は木質バイオマス発電の事例に関し、エネルギー問題に絞って考える事にする。


本書で紹介されたのが、銘建工業という岡山県にある中小企業である。銘建工業では斜陽産業と言われて久しい製材企業の中で木質バイオマス発電という技術を用い、現在注目を浴びつつある。木質バイオマス発電とは、切った木を製材する際に出る年間四万トンとも言われる樹皮等の木屑を燃料にし、専用の炉を用い発電する事である。ちなみに、オーストリアでは今や国内の電力の10%はこの木質バイオマス発電で賄われており、基幹産業となりつつある。銘建工業の強みは元々質が高い製材を行う突出した技術力にあったが、本来産業廃棄物となる木屑を自家発電に利用する事で年間2億4千万の廃棄料金と、1億円の電気料金の節約、さらに余った電気を電力会社に売る事でさらに5000万の利益をあげている。(発電施設の設備投資は10億、二年半で元がとれる)。

日本では東日本大震災よりずっと再生エネルギーの議論がされきたが、東京都知事自民党が推す桝添氏が当選した事で安倍内閣は原子力を重要なロード電源と位置付け一気に原発再稼働へと進もうとしている。円安なのに、エネルギー輸入により貿易赤字が続いている異常事態、さらに経営不振による各電力会社の料金値上げ、原発を再開すればこれらの問題は一時落ち着く。

しかし、あらゆる政策に強きな敵無しの自民党でさえ、未だ原発の再稼働は1つも実現できていない。それぐらいエネルギー問題はデリケートな問題だ。

東京都知事戦で細川・小泉ペアが問題提起し、改めて世論は再生エネルギーについて考える事になったのだが、天然ガスや太陽光や風力と言ったこれまで何年も議論されてきたものに終始し、地熱や木質バイオマスは話題にのぼることは無かったように思う。地熱に関しては、真山仁のマグマで読んだ程度の知識はあったけど、木質バイオマス発電に関しては私も無知だった。


私は以前にもエネルギー問題に関し、東日本大震災からの復興で適当に書いたが、日本が今後も先進国として経済大国を目指すなら、安全が確認された原発に関しては再稼働せざる得ないのではないかと考えていた。それは先にあげた貿易赤字の拡大が深刻な事、増税+電気料金の値上げによるデフレ再発、さらには使用済核燃料の処理に多大な費用がかかる事から即停止は現実的ではないと思ったからである。日本が止めた所で中国や韓国は止めないわけで、国際競争力の観点からも原発は必要でもある。


しかし、その後色々情報を得て、ヨーロッパやアメリカにくらべ日本は再生エネルギーに関する取り組みが地震大国にも関わらず大きく遅れている事を知り、このままではいけないとも感じていた。細川・小泉ペアは海外の先進国の再生エネルギーへの取組をもっと世論に訴えかけるべきだった。特にオーストリアの事例に関して。それなら結果はもう少し変わったかもしれない。私はこの木質バイオマス発電は再生エネルギーの切り札になるかもしれないと思う。


木質バイオマス発電の何よりの強みは資源が枯渇する事なく永続可能な点である。木を使うのだから、オーストリアみたいに毎年成長する分だけ使用すれば永久に無くなる事はない。そして、日本はオーストリア以上の森林大国なのである。安全性や大気汚染にも問題は無いし、太陽光と違い、場所やコストが特別に掛かるわけでも無い。オーストリアには複数の木質バイオマス発電のメーカーが切磋琢磨し、発電のコストや効率も年々進化してきている。さらに、銘建工業に倣えば、発電に使用しているのはあくまで産業廃棄物となる予定だった木屑である故に燃料費もかからない。まさに日本にとってはうってつけの発電方法に思える。


と木質バイオマス発電に関して良い事ばかり書いてきたが日本で銘建工業以外どこもこの発電方法に目を付けてこなかったのにも理由はある。今日はこの辺にして、次回は木質バイオマス発電のデメリットや課題について書こうと思う。