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安楽智大、高橋光成は復活できるか

先日に続き、高校野球の話題を。前回紹介した大和広陵の立田将太が大々的に特集されている記事を発見。とても考えさせられる内容だった。


http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303844704580001373311080954


高校野球における勝利と連投は掛け離すことができない。そもそも、野球自体投手力がまず第一に重要な要因で、エースがしっかりしているチームが勝つ。プロ野球でどんな優秀な打者でも打率は三割前半、6、7割は打ち取られる。打線は水物、だから大体のチームはまず投手を中心とした守りからチームを鍛えていく。良いエースであればある程、チームの命運を握る為、勝つために酷使される。肩は消耗品である為、高校野球での連投がその選手の野球人生を終わらせてしまうこともある。


このテーマは年々問題になってきている。そのきっかけとなったのが、昨年の選抜大会である。済美高校の安楽智大投手は一年生ながら150キロを超えるストレートを投げ、全国から注目された。その大会で済美高校は準優勝を果たしたのだが、安楽は全試合に登板、延長戦や元々球数が多いこともあり決勝ではヘロヘロの状態で浦和学院にボコボコに打たれた。この時の安楽の酷使され方はメジャーリーグでも話題となった。


安楽は次の夏の大会もフル回転し、活躍を見せた。済美高校が春初優勝した時のエース(現広島の福井)も全試合1人で投げてた気がするが、上甲監督はそういう方針なので予選からどんな試合にも安楽が登板した。さらには、甲子園後の世界大会にもフル回転し、結果、次の秋の大会で安楽の肘が壊れた。

この年代で怪我に泣かされたのは安楽だけではない。夏全国制覇した前橋育英のエース高橋光成はその大会に限っては安楽以上の連投をし、同じく世界大会にも同行した。前橋育英の高橋への依存度も安楽に負けず劣らずで、結果、高橋も怪我でまだ本来の投球ができないでいる。

選抜で優勝した浦和学院のエース小島も彼らと同世代。浦和学院は他にも力のある投手はいたし、打線も強かったけどやはり小島も連投した。夏は初戦敗退だったが、序盤から四球を連発し大量失点したにも関わらず九回まで投げ続け、結果、怪我で降板。今年の夏も本来の姿を見せることができず、すでに敗退した。


思えば、今年の三年生は本来好投手だらけで、最後の夏にどんな投球を見せてくれるんだろうと期待していたものだった。しかし、実際は二年時の連投が響き、本来の投球を取り戻せずにいる。


一概に、高校野球の連投がいけないとは言えない。しかし、これは指導者がしっかり選手の将来を考えて決断しなきゃいけない。あの松坂もかなり酷使されたイメージだが、明徳戦は1イニングしか投げていない。正直あの時の横浜高校の渡邊監督は負けるもやむなしと思っていたと思う。本当の意味でめちゃくちゃな連投がされるようになったのはここ数年じゃないかと思う。

ハンカチ王子早稲田実業)、島袋(興南)、吉永(日大三)、菊池(花巻東)、安楽、高橋。結果論であるのは重々承知だが、やはりその大会をピークに怪我をしたり劣化してしまった選手が多い気がする。


彼らは当時皆プロになる実力があったし、実際にそれを目標にしていたはず。高校野球で野球を辞めると思ってやっていたわけではないはずだ。選手は優勝したい気持ちが大きいのは当たり前で、先の事なんてその時は考えられない。だからといって、指導者である先生まで冷静さを欠いてはいけないんだと思う。野球だけじゃない、高校教育そのものが、将来を見据えたものじゃなきゃいけない。今が全てじゃない、高校生は今が全てだと思うし、私もそうだった。しかし、今思えば学生時代なんて通過点でしかないし、人生その後いくらでも続いていく。



一番最初に紹介した記事の立田親子はプロを第一目標とし、連投を真っ向から否定し地元の弱小公立に入った。立田には立田の葛藤がある。強豪校ならもっと自分の事に専念できたんじゃないか、プロのスカウトにアピールできてないんじゃないかと。答えが簡単に出る問題ではない。


しかし、私は前回も書いたが、立田は大和広陵に入って良かったと思う。チームメイトの事も考え、人間的にも大きく成長する事ができたと思うからだ。それに周りに流されず自主的に行動できるハートはプロでも必ず必要になるもの。

高校野球の連投問題に一石を投じる意味でも、立田にはなんとかプロになる夢を叶えてほしい。最後の夏、今まで蓄えてきた力をスカウトの前で出し切ってほしい。安楽、高橋に比べ甲子園の実績は少ないが、目立った怪我なくここまでこれたのは立田が自分の信念を信じてやってきた結果だ。


私は今愛媛に住んでいる。安楽には複雑な感情を持つ。最後の夏、フル回転でまた活躍してほしい気もするし、上甲監督にこれ以上酷使されたら今度こそ野球人生が終わってしまう心配もある。初戦は148キロも記録し完封、復活の兆しを見せたと同時に、無名公立に9回まで0対0と済美の安楽への依存度は特に今年は大きくなりそうだ。9回に8点取っても安楽を変えなかった監督の起用法もブレない。ライバルの今治西や西条も絶対的ではない。どちらにせよ、今回の夏のひとつの結果が高校野球のあり方に大きな一石を投じるかもしれない。