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学生スポーツを本気で批判する大人

台風の影響で2日開幕が遅れた高校野球の全国大会も早いものでベスト16が出揃った。今大会も近年の流れを引き継ぎ、前評判の高いいわゆる強豪校の不振が目立ち、北信越、東北のチームの強さが際立っている。去年も東北は秋田以外初戦突破、もはや東北は一番力を持っている地域と言ってもいいかもしれない。初優勝は時間の問題だろう。


逆に、九州や近畿、関東のチームの力不足は否めない。身体の大きさや振りの鋭さが勝ち進んでいるチームに比べ弱々しい。(大阪桐蔭除く)

私の地元の奈良智弁学園も小坂監督になってから初めての初戦敗退。相手の明徳義塾は強かったし、岸対岡本の対決は見応えがあった。最終的には守備力の差が出た試合となったが、好投手岸から9安打放った打撃は素晴らしかった。そして、二年生の広岡のホームラン、一年生投手村上の好投は新チームの大きな希望となった。特に村上は今の時点で138キロを投げ、変化球でも空振りが取れる、打撃も良いと二年前のエース青山を思わせるような逸材。智弁の青山と天理の中谷、智弁の岡本と大和広陵の立田とこの数年は奈良に素晴らしい選手がいたが、天理の森浦と智弁の村上、この二人の逸材がまた三年間は奈良の高校野球を盛り上げてくれるだろう。


ところで、高校野球を毎年楽しく見ているのだが、これはネットが普及したからなのかわからないが、たかだか学生スポーツに対して偉そうに批判する大人の姿が見るに耐えない。


今大会で言うならば、東海大四のエース西嶋投手のスローカーブについて、どこぞの元アナウンサーがTwitterで批判して物議を醸した。あれを投球術とは認めないみたいな。私は今大会最も感動したのが、この西嶋投手の投球だった為、憤りを隠せない。前評判が非常に高かった九州国際の打線を、140キロ近くの直球、120キロ代のスライダー、110キロ程のチェンジアップをコントロールよく投げ分け翻弄。そして、一試合に数球投げる50キロ程の超スローカーブ。九州国際は全く手も足も出なかった。小さな体で、巨体の相手を翻弄する投球術はまさしく今大会ナンバーワン。現に本日行われた二回戦も延長の末敗れたが、九回まで三塁も踏ませぬ最高の投球だった。


ダルビッシュもこの騒動を受け、言った人は野球やったことないんじゃないと西嶋の投球術を賞賛した。西嶋投手には是非野球を続けてほしいし、今大会の投球には本当に拍手を送りたい。


昨年は花巻東のカット打法が大きな批判を浴びた。ファールで相手に球数を投げさせる為に二番バッターが大会を通じて巨人の松本のような構えからファールで粘りまくっていたら、準決勝で審判から注意された。別にルール違反では無いはずだが、一時その二番バッターは大きな批判を浴びた。

私は細かいルールはわからないが、確かにスポーツにはモラルのようなものがあるのはわかる。私はずっとテニスをやっていたが、サーブの弱い相手にドロップばかりやるとか、セルフジャッチでインをアウトと演技したりする事は確かにいけない。しかし、ファールで粘るのは近年の野球では賞賛されるプレーだし、プロでもそのしつこさを売りに飯くってる選手はいるわけで。例えば、WBCで井端あたりが彼のような打法でファールを何球も打ち、フォアボールを勝ち取ったら大ファインプレーだろう。テニスで言うならば、相手のミス待ちでひたすら拾い、ロブ上げ続けるようなプレー。確かに相手にしたら嫌だが、それをこじ開けられない自分の技術こそが問題で、なんら違反ではない。しかも、審判や高野連が注意するなら、一回戦だ。勝ち進んでからいきなり言われても。


彼らは相当な練習を積み、その技術を磨いた。誰もができるプレーではないのだ。なのに、何も知らない大人が知ったように批判をする。それも高校生相手に。ありえない。


最後に近年高校野球でよくされる批判が野球留学に関してだ。これも私は大賛成である。


大阪を代表とする近畿の有望な中学生が東北や全国に野球留学という形で地元を離れる。様々な要因があるのだろうけど、今程さかんに野球留学が行われていない時代は、地元では自分達より凄いメンバーをかき集めている強豪校に勝てない、予選が激戦な為、地方に行き、より甲子園に出る確率を高めるというのが一般的だった。


この野球留学により東北のチームは明らかに強くなった。そして、近畿は弱くなった。今は甲子園に出るという目的だけじゃなく、単純に東北のチームに行った方が育成力があり魅力な事も要因になってるんだと思う。現に、大阪桐蔭以外の近畿のチームの指導者は酷く年配の方が多く、やっている野球も少し古い印象を特に近年持つ。ダルビッシュも、マー君も近畿の出身だが、北海道や東北に行って大成した。大谷も花巻東で才能を開花させた。

青森の光星のスタメンは近畿出身ばかり。しかし、彼らがもし地元に残っていたら同じような輝きを出せただろうか。今年のチームにはなんと私の母校(奈良)から青森まで行った二年生がスタメンで出てて、単純に感動した。同じ日本で出身なんて関係無い。自分の地元に野球がしたいからってわざわざ来てくれる高校生をどうして嫌いになれようか。


それに、高校入学時に親元を離れる決心ができるなんて凄い。野球留学を批判してるしょうもない大人達が高校生の時なんて大体の人は親に色んな迷惑かけて生活してたに違いない。高校三年間を、地元から離れ暮らす経験は何にも代え難い財産になるし、きっと野球だけじゃなく人生に良い影響を与える。私も転勤で色々な地方で暮らしてきたが、新しい土地に体1つで来ると様々な面で大きくなれる。


何はともあれ、学生スポーツに大人が顔真っ赤にして批判したり議論したりするのは、おかしい。だって、彼らはプロじゃないんだから。彼らが三年間練習してきたものを本番で出せるように、ただそれだけを祈り、試合を見ていると高校野球は本当に感動できる素晴らしい試合ばかりだ。