グローバル企業に恐れおののく国家という概念

http://m.huffpost.com/jp/entry/5891998

国連がアメリカのハゲタカファンドに対して、非難決議を採択した。日本は反対してたみたいだが、2001年にデフォルトしたアルゼンチン政府に対して、金を返せ、返せないなら返済額を少なくする事を了承した投資家に対する利払いを止めろと裁判を起こしたアメリカのハゲタカ。アメリカの裁判所はハゲタカファンドの主張を受け入れたが、追い込まれアルゼンチン政府は国連に泣き寝入りし、国連が動いた。今後デフォルトから立ち直ろうとしている政府に対するファンドの妨害を規制する国際協定を策定する事が決まった。


このような動きはいずれ国家対グローバル企業という新しい覇権争いに発展していくだろう。冷静に考えれば、アメリカのハゲタカファンドは債権者として当然の権利を主張しているだけだ。例えば、金を貸した相手が破産したとする。その当時はもちろん相手に金を返す術なんてないから返済に時間がかかる事は了承せざる得ない。そうこうしているうちに、相手の債務者は他にも金を借りていた人達に返済額を減らす交渉をし、新たな利払いが発生する借金(国債)をする事により返済期間をどんどん伸ばしていった。今一時的に相手には金がある状態だが、何年経っても相手の財産が安定することはなさそうだ。それなら、自分が貸した分だけでも現金がある今、返してもらおう。多分そういうことだ。


ビジネスの世界では当然の流れであり、だからこそアメリカの裁判所もハゲタカファンドの主張を受け入れた。それが国家間になると通じなくなるというのはおかしな話である。しかし、国連も必死にならざるえない。何故なら、こんな事を認めてしまったら、グローバル企業によって小国なんて簡単に潰せてしまう前例を作ってしまうからだ。


そもそもハゲタカファンドというのは、企業の債券や株をなるべく安く買い叩き経営権を奪取、リストラや資産売却等の効率に特化した再建策を実行し企業価値を取り戻した所で価値が上がった債券や株を今度は叩き売る事で莫大な利益をあげる。債券が絡む以上、相手は企業とは限らない。その気になれば、今回のアルゼンチンのように瀕死の政府に引導を渡すこともできる。


資本主義の行く末はこういう世界にならざる得ない。強者は弱者を食い物にしどんどん大きくなる。それが先進国の望んだ世界であるなら、グローバル企業の巨大化を妨害するような事を国家が手を組み行うのもおかしい。競争原理が大前提になる以上、どこかの国、企業だけは守るということは許されない。世界的なフラットなルールの下、最も結果を出した者が勝者だ。


グローバル企業の脅威は何もハゲタカファンドだけではない。アメリカのGoogleAppleamazonに代表される巨大IT企業。これらの企業はとてつもないスピードで技術革新を続け、アメリカという国家を飛び越え、全世界を手中にする可能性がある。ITだけじゃなく、ロボット技術や軍事産業等にも精通するだけに、彼らを国家が管理できなくなった時には何が起きてもおかしくない。幸い、これらの企業のトップは純粋に世界を良くしたいという希望を胸に突き進んでいる。だから、国家という枠組みの中でルールに乗っ取って成長を続けている。


今後、国家という概念はグローバル企業によってどんどん取り払われていくだろう。世界中の人や物といつでも繋がれる、ITという技術のおかげで。関税等機能しない、国境も意味をなさない、そんな時代がくる。随分前に私も日記で書いたビットコインはその最たる例、通貨がなくなれば国家の役割はほんとに少なくなってしまう。国家よりも大企業が強くなる時代。


今後も今回のような国家対企業の戦いは続いていくだろう。要は政治家とグローバル企業の役員、どっちが頭が切れるか。私は後者が勝つと思う。何事も守より攻める方が強い。国家という枠組みにはすでに様々な限界が見え始めているが、グローバル企業のポテンシャルはとどまるところを知らない。


ちなみに、私は真山仁さんが書いてるハゲタカシリーズが大好きだ。腐った日本を、腐ったアメリカを買い叩く!このキメゼリフ。そのため、今回のような記事にも完全にハゲタカファンドよりに見てしまう。資本主義の成れの果ては一体どんな世界で、その後どんな概念が世界基準になるのか、私が生きてる間にも世界はまだまだ大きく変わりそうだ。