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大塚家具が生き残る為には

ついに配当を吊り上げ株主を奪い合ういわゆるプロキシーファイトにまで発展している大塚家具のお家騒動。様々な思惑が飛び交い既存株主は一時的にうはうはな状態だが、大塚家具自体の業績、未来を考えれば父娘どっちが勝っても今後も苦しい状態が続くに違いない。


簡単に言えば創業主である父は今までのやり方を継続し、ある程度の価格で中流から富裕層にしっかり標準を定めて、完全接客、1人1人のお客様を大切にしていく方向性。対する現社長の娘は、今までの大塚家具=高級品、敷居が高いというイメージを払拭し、気軽に買える店、商品作りを目指す。詳しくは言わないが私は自分の仕事柄、この業界には少し詳しいが、どちらかというとやはり娘さんの方向性を支持したい。


しかし、正直、高級品路線にしても、娘さんの路線にしても未来は真っ暗だと私個人的には思う。


まず、そもそも高級家具の需要がほぼない。私のような二十代の人間はお金をそんなに持っていない為、大塚家具で家具を買おうなんて気持ちにはまずならない。安けりゃ安いほうがいいし、マットレス以外の家具なんて正直デザインにしか興味がなく、強度や機能なんてどうでもいい。恐らく、大塚家具も私のような年代はそもそも相手にする気はないだろう。それはしょうがない。


しかし、お金を持ったご年配の方が高級家具を欲しがっているかというとそれもない。たかが家具になんでそんなお金をかけなきゃいけないのかという気持ちは実は若者も年配者もそんなに変わらない。

例えばテーブルを欲しいとして、ニトリと大塚家具で価格の差が数万円あるとする。デザインは確かに大塚家具の方が少し凝ってるような気がするが一見違いがわからない。実際何が違うかというと、使っている木材や塗装の仕方が違うとか、海外生産か国内生産かの違いである。素人からすればいまいち違いがわからない。しょせんテーブルだから作り方に大した差は無いから強度等はそんなに変わらない。それなら普通安い方を買う。


そう、色んな機能や付加価値が必須の家電製品と違い、家具は付加価値がつけれない分野。原価が高いというのは企業努力の欠如、怠慢でしかないのである。機能性が重視されるマットレスも実際寝転がってみても少なくともある程度の価格以上になると違いはわからない。しかし、海外で大量生産しているニトリと、主に国内で受注生産している大塚家具の商品では、同じような機能でも、圧倒的に価格に差が出てしまう。寝転がってみてもわからない程度の違いならそりゃ安い方を買う。


国内の技術でしか作れないような分野のアイテムならともかく、大した機能や付加価値があるわけではない商品を今時海外で生産しないのは正直作る側の傲慢でしかない。消費者の目は特に増税後非常にシビアである。国内で生産しているから高級品というイメージはもはや通用しない。食品でも無い限り、それなら同じような品質でもっと安いものを海外で生産してほしいと普通は思う。家具が高級というのはもう致命的に時代遅れだと個人的には感じるし、実際需要はない。


次に、今更路線変更しても競合のスピードに追いつけない。今回の大塚家具のような路線変更の話は正直出てくるのが遅すぎる。高級路線からの脱皮を図るなら、増税後すぐとか業績不振になってすぐとか、もっと早いタイミングがあったはずである。今更そんな次元の話で揉めんのかいとつっこみたくなるぐらいである。ニトリやイケヤはもうそれこそ十年以上前からいかに安く良いものを提供するかということを命懸けで取り組んできたはずであり、そのノウハウは大塚家具がいきなり真似しようとしてできるはずがないぐらい研究が重ねられている。今更競合と同じ土俵で戦おうとしてもまず勝ち目はない。逆に競合は大塚家具のような高級品をいかに安く生産するかという所まで研究を重ね、一見違いがわからないけど価格は断然安いというレベルまで類似した商品を作れるようになっている。高級品路線でいくにしても、大塚は厳しい。実際、増税後も実績が好調な企業は、今までよりも少し高級な商品の売れ行きが好調な所が多い。



大塚家具が唯一競合に勝てる要素としては、父の路線である会員制、完全接客による顧客からみた信頼、特別感である。私は大塚家具の接客を受けたことがないが、イケヤはまず接客をされたことがないし、ニトリも完全接客という感じではなく聞けば色々教えてくれるという感じである。恐らく、大塚家具はそれこそ車のディーラーみたいに完全接客でおもてなしをしてくれるのだろう。しかし、これはあくまで客によって受けとめ方は違う。それを嬉しいと思う人もいれば、鬱陶しいと思う人もいる。私は鬱陶しいと思うタイプなので、娘さんの路線であるもっと気楽に購入できる店作りを支持する。車のウィンドウショッピングはしないが、家具は見てるだけでも別にいいじゃないかと思う。


大塚家具が生かさなければいけないのは今までのスタイルでつちかってきた販売員の接客スキルである。娘さんが言うように店は誰でも気楽に入れるようにし、商品のラインナップもできる限りいわゆる裾物を取り入れる。しかし、今まで通りの高レベルな完全接客は続ける。ニトリやイケヤに真似できないレベルの接客を大塚家具はできる、そうなれば少々価格が高くても販売員の感じが良くて、品質も安心できる大塚家具で買おうかという気持ちになる人は少なくないだろう。特にご年配の方は。


最低限、競合の商品は何故安くて、大塚の商品はどこに強みがあり高いのかをちゃんと説明できるレベルじゃないと話にならない。とにかく、大塚家具が今後磨いていくべきはその方向性だと私は考える。


いずれにせよ、大塚家具は独自のフォーマットを形成し直し、今までのやり方を一新しないと遠くない未来、潰れてしまうだろう。高級家具屋は実は地方には個人商店含めたくさんある。何もニトリやイケヤだけが競合ではない。もし、大塚が低価格路線に露骨に走り出したら、ニトリやイケヤは全力で潰しにくるだろうし、なかなか難しい。洋服であれば高級品やブランド品でも需要がある為、ユニクロが無双してても何とか戦うことはできる。しかし、家具は全く違う。人の家に行って、オシャレな家具があったとしても、そのブランドを気にする人はいないだろう。それが大塚であれニトリであれイケヤであれ構わないのである。それなら安いに越したことはない。


お家騒動が注目されがちだが、実はどちらが勝っても未来はお先真っ暗の可能性が高い。早く和解なりなんなりして、ちゃんとした方針を定める事が株主、ひいては顧客に対する誠意だと私は思う。