選抜高校野球総括 敦賀気比初優勝

選抜高校野球はあっという間に本日決勝戦が行われ、見事福井の敦賀気比が北海道の東海大四を退け、初優勝を飾った。エースの平沼がとにかく大会通して素晴らしく、打線は全体的に湿りがちな印象だったが六番の松本がホームラン三本の大暴れで牽引した。打線の持つポテンシャルを考えればまだまだ強くなるチームであり、春夏連覇も充分に狙えるだろう。

 

今大会私が最も応援していた土地元の奈良大付属は初戦でこの敦賀気比と対戦するという素晴らしい経験をできたのだが、初戦の敦賀気比を見て一番凄いと思ったのは選球眼と粘りだった。奈良大のエース坂口のコースにビシビシ決まるストレートと変化球をことごとく見逃しやファールされ、甘くなった球を痛打された。結果的に三点で抑えたものの、それは坂口が敦賀気比の粘りに根負けしなかったからであり、並の投手だったら序盤で終わった試合だった。初戦の平沼の出来、打線の粘り強さを見て、今大会は敦賀気比が強いかなと感じたが、激戦グループを勝ち抜きよく優勝してくれたと思う。奈良大の選手達も喜んでいることだろう。


今大会の総括として、まず私に縁にあるチーム達は上記のくじ運最悪の奈良大以外は見事初戦を突破し、二回戦で見事全滅した。中でも最もインパクトを残したのが21世紀枠の松山東。夏の大会を見るにエース亀岡のワンマンチームだと思っていたが、二松学舎の好投手大江からまさかあんなに打つとは。アルプスの大応援団も素晴らしくて本当に感動した今大会ベストゲームだった。逆に今治西は予想通り、和歌山の桐蔭にはなんとか勝ったものの投手力に大きな課題を残し、夏は恐らく厳しいだろうと感じる。


私が生まれた大曲工業は爽やかなチームだった。初戦、四国王者の英明をなんなく退け、東北三校初戦突破に貢献、私的には浦和学院にも勝つと予想していたが優勝候補には力負け。しかし、夏に是非戻ってきてほしいチームだった。そして、最後に少し残念だったのがもうひとつの奈良代表の天理。過小評価されていた投手陣は力を見せた。エースの斎藤は素晴らしい投球術を見せたし、一年生の森浦の球威を見てると昨年佐野日大にいた田嶋レベルまで伸びそうなポテンシャルを感じた。問題は攻撃陣。初戦はいいところで長打が出て快勝したが、とにかく全員振りが大きく、選球眼も悪いのが気になった。近畿大会で幾多の左の好投手を攻略してきたのに健大高崎のエースの川井に対し、何の策もなくあっという間に負けてしまったのはいただけない。今大会の健大高崎は決して昨年夏のような完成度や強さは無かった。東海大四のように謙虚に食らいついていけば難なく勝てたような気がする。天理は結局今大会も前評判だけだった。



天理の敗戦に代表されるように、今大会も近畿、さらには西日本のチームの弱さが目立った。近畿はまた大阪桐蔭だけ勝ち進み、九州、中国は0勝。逆に関東、東北、北海道の強さが目立った。


雪国のハンデはもう遠い過去の話。大阪桐蔭以外の西日本のチームはとにかく非力である。そして、目指している野球が古い。ランナーが出ればとりあえず打順に関係なくバント、守り重視、コントロールが武器のエース。東日本のチームはバントではなく盗塁やエンドラン、守りよりも攻撃重視、球威が魅力のエース。西日本のチームはまず全国レベルの速球を打つことができず、速球に遅れる為ボールになる変化球にキリキリ舞している場面が多かった。また、そもそも攻撃力を捨てて守り重視のチームカラーの為、序盤に少しでも失点すると負け濃厚な意識になり守りも焦りから崩壊するという窮屈な心理状態でプレーしなければならない。打線が弱いというだけで、相手投手は精神的にも非常に楽になるし、守り偏重では春の大会ですら勝ち抜けない時代になっている。



昨春の大会は平安、履正社の決勝となり、近畿の復活を予感させたが、夏も今大会も大阪桐蔭のみ活躍。その大阪桐蔭も裏金の問題で強さは今がピークとなるだろう。大阪桐蔭のいない近畿は九州・中国とならび近年は最弱地区である為、出場枠は北信越や東北に分けるべきかもしれない。


最後に今回最も気になったのは審判のレベルの低さである。これはレベルが低いならまだ良いのだが、私情で片方のチームに肩入れしてるのであれば大問題である。決勝は明らかに東海大四に有利な判定が多かった気がする。サードへの危険なスライディングによる守備妨害
を取らなかったり、避けずに当たったデッドボールを認めたり、ストライクゾーンがコロコロ変わったり。決勝以外で気軽に見てるような試合でも、試合展開によって負けてる側に有利になるようなミスジャッジをしたり、ストライクゾーンが表、裏で微妙に違ったりというのはよくあった。これはプレーしてる側からすればとんでもないことである。私も学生時代、審判に怒りそうになったことは何度もある。スポーツはワンプレーで流れが変わるものなのだから。数年前の広陵佐賀北の決勝戦の満塁ホームラン前の異常に狭いストライクゾーンなんてわざととしか思えないが、審判が試合の空気を読む必要なんて全くないのである。


何はともあれ、優勝した敦賀気比は平沼を中心とした素晴らしいチームだった。今年の夏は恐らく春上位にきたチームが打力を強化して戻ってくる大会になると思う。個人的には奈良大の坂口に魅せられ、天理に失望したこともあり、奈良の夏は打力を強化して奈良大に制覇してほしい。初戦の平沼を経験できたのは何よりの財産。坂口も敦賀気比に比べれば天理も智弁も小粒に感じるだろうし、また是非甲子園に戻ってきてほしい。