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また関東大会になってしまった甲子園

夏の甲子園も早いものでベスト4が出揃った。早稲田実業仙台育英東海大相模、関東一。見事に実力校が出揃った印象で、今大会も関東、東北の強さが際だっている。年々この傾向はどんどん大きくなっている。


私の懸念した通り、近畿勢はベスト8に一校も残れなかった。大阪桐蔭がいないともはや最弱地区なのは認めるしかない。くじ運が良くてなんとか一勝できるかどうか、そのぐらいのレベルにまで落ちてしまった。大阪桐蔭も裏金の問題で選手を集めにくくなるだろうし、何より、近畿にライバルどころかまともに練習試合ができる相手もいない為、周りのレベル低下に影響を受け、弱体化していくだろう。


しかし、関東、東北が強くなり、近畿が弱くなったところで、高野連的には全く問題ないだろう。近畿勢が全くベスト8に入らない中、甲子園は連日超満員となっており、もはや近畿の学校が人気がある時代すら終わろうとしている。むしろ、昨年の決勝も甲子園の空気は地元の大阪桐蔭ではなく、三重高校を応援する雰囲気になっていた。


今回の注目選手も関東のチームばかり。早稲田実業の清宮、関東一のオコエ、東海大相模の小笠原。その中でも清宮は二回戦、準々決勝と2試合連続のホームランを記録。注目されるほど力を出せる選手なのか、甲子園で試合を重ねるごとにグングン成長している。今後高校野球早稲田実業、清宮君を中心に回っていくだろうことを今大会で決定づけた。


前回、智弁和歌山と天理の弱体化の原因を年配監督の指導力の面から考えてみた。しかし、近年の近畿勢の弱体化はもはやそれだけの問題ではない。何故なら、そんな弱体化した私立を倒すような他の学校も出てこないし、出てきたとしても全国の舞台で他地域の学校と戦うと全く歯が立たない。今回の津商業や創成館のような学校はとてもじゃないが近畿からは出てこないのである。


正確に言うと、近畿勢が弱くなったのではなく、他の地域が強くなっているのである。

監督の指導力以外の面で近畿勢が他地域に劣っていることの1つは県の高校野球連盟の努力である。例えば、今回ベスト8に入った秋田商業秋田県は、何故秋田代表が甲子園で勝てないのかを真剣に議論し、今年が5カ年計画の最終年であった。秋田は私の出生地なのだが、確かにめちゃくちゃ弱かった。しかも、他の東北勢がグングン強くなる中、置いてけぼりを食らっていた。しかし、そこで危機感を持ち他県に学ぶことで今年春の大曲工業、夏の秋田商ときっちり結果を出すことができた。


秋田以外でもこの手の取組はけっこう色々な地域で行われている。強豪校を纏めて招待して練習試合を行ったり、春、夏、秋以外にも地域で新人戦等の大会を開いたり。何というか、近畿以外の地域はその地域内での切磋琢磨ができる環境が整っている。近畿は各府県、各学校が自分達の殻に籠もって手の内を明かさぬよう活動している。だから、練習試合もなかなか近畿内の強豪校同士はしないし、してもエースを出さなかったりする。かといって、関東の強豪校に遠征したりもしない。


実際に試合をしている学生は別にたかが部活なのだから、勝とうが負けようがどうでもいい。しかし、それらを県の代表として統括している大人達は仕事でやっているのだから勿論成果をあげなくてはならない。甲子園で勝ててない県の高校野球連盟の職員はその分待遇を下げられて当然である。仕事なんだから。それは我々民間企業も公務員も同じである。例えば、対戦相手が決まったら、県の職員がそのチームのデータを集めて自県の代表校に渡すぐらいはしていいんだと思う。少なくとも、地元の代表校が活躍すればその地域は盛り上がるし、全国的に注目される。それぐらい高校野球は巨大コンテンツで地域活性化の一因を担うものになっている。


次にそもそも近畿という地域自体が落ち目で良い選手、良い指導者が生まれにくくなっている。近畿と同じぐらい弱体化が酷いのがお隣の四国。私は四国で働いた経験があるのだが、とにかく、若者がいない。刺激が無さ過ぎて、とてもじゃないが若者が人生を通して暮らせるような環境ではない。若者は皆出て行く為、子供の数は年々減っていき、少子高齢化の負のスパイラルへ。高齢者しかいない地域はさらに変化がなくなりどんどん廃れていく。


子供がどんどん減っていく地域の野球のレベルが上がるはずがない。野球留学も完全に東北に主導権を握られてしまっており、せいぜい明徳が馬渕監督の人気で何とかしているぐらいだ。そして、このことは近畿にもいえる。


近畿2府4県も近年急激に人口の減少が進んでいる。日本全体が少子高齢化と言えるかもしれないが、関東の主要都市はどこも年々人口が増加している。要するに、一局集中が進んでいる。勿論、ご年配の方が生まれ故郷の近畿を捨て関東に移住するわけもなく、その大きな要因は若者の関東での就職である。近畿の企業は皆落ち目で魅力がないし、大阪ですら働きたくないという若者は非常に多い。私もその口である。


さらに今年の大阪都構想の頓挫が決定打となった。近畿はどの県も老害が支配しており、若者は住めなくなってしまった。


話は逸れたが、高校野球の弱体化とその地域自体の衰退は恐らく密接に関係しているのだと思う。若者がいない地域は何事も衰退していく。近畿だけじゃなく、四国、中国、九州の西日本全体が割と凄まじいスピードで今後も弱体化していくと思う。リニアも名古屋まで、カジノも東日本、オリンピックは蚊帳の外。

もし、高校野球だけでも強くしようと思っても、例えば指導者を世代交代するといった生ぬるいやり方ではなかなか結果は出ないと思う。県、地域が一体となって地元を盛り上げないと、甲子園は毎年、関東、東北大会と言われてしまうようになってしまうだろう。