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選抜高校野球展望と枠数について考える

選抜高校野球の出場校が先日発表された。この前秋の大会が終わったばかりな気持ちなのに、ほんとに時が経つのは早いものである。今回はサプライズ要素は少なく、地方大会の結果から実力通りに選出された印象が強い。目玉はやはり早稲田実業の清宮君だろう。


私の出身である奈良県からは今回2校選出された。二年前、四年前も2校選出(21世紀枠はなし)されており、近年奈良県は着実に近畿の中で大阪に次ぐ強さをつけてきていることが伺える。それは、ある意味で他の近畿の高校の弱体化も意味するのだが、奈良県高校野球が好きな私にとっては素直に嬉しいことである。


智弁学園と高田商。いずれも近畿大会でベスト8、それぞれ大阪桐蔭履正社に敗れての選出となった。ベスト8で2校とも選出された要因として、履正社神宮大会で優勝し近畿の枠が1枠増えたこと、履正社大阪桐蔭がベスト4入り、同じく大阪の上宮太子がベスト8で大阪からは3校選出できないというかなりラッキーな事情もあった。こんな事が起こるのは地域によって違う出場枠数が近畿は非常に多いことが理由であり、他の地域から見れば羨ましい限りだと思う。出場枠については後で書きたいと思う。



両校の簡単な印象。まずは智弁学園

智弁学園は何を隠そう昨年の選抜の優勝校である。昨年の選抜は開幕戦エースの村上君の第1投から始まり、決勝戦は打者村上君がサヨナラ打で大会を締めくくった。今年のチームの中心は昨年の選抜で3、4番を打った太田君、福元君。2人とも甲子園ですでにホームランを打っており、打撃力は全国でも屈指、昨年よりも力のあるチームだと思う。投手は右の本格派の松本君、左の技巧派の岩井君の2枚看板であるが、秋のままではどちらも全国ではある程度の失点は覚悟しなければならない。特に松本君は140キロを軽く越えるストレートを投げるだけにこの冬場に課題を克服して真のエースとして成長してほしい逸材である。昨年も秋の時点では村上君は実力はあるが何故か打たれてしまう投手であったが、選抜では巧みな投球術でほとんど点を取られなかった。松本君がどんな成長を見せるか楽しみである。  


智弁学園の何よりの課題は守備。守備さえ改善されれば、春連覇も充分に狙えるポテンシャルを持ったチームだと個人的には思う。


高田商業。通称、高商は昨年引退した番長こと三浦大輔投手の母校である。高商と言えば、なんといってもソフトテニス。私は高校時代ソフトテニスをやっていたのだが、当時高商は全国で一番強い高校だった。奈良の大会で高商の何番手がわからないペアと当たるのだが、どいつもこいつも強かった、強すぎた。公立であるにも関わらず、ソフトテニスであそこまで突き抜けた強さを会得できるのであれば、野球部にもポテンシャルはあるはずだ。


奈良の智弁、天理以外の高校が甲子園に出る時は基本的にはエースの投手力におんぶにだっこのチームである。斑鳩高校の高間投手、大和広陵の立田投手、奈良大付属の坂口投手は皆全国でも通用する素晴らしい投手であった。しかし、エース以外がやはり全国レベルではなく、点が取れず負けることが多かった。今年の高田商はその点、数年前の夏に奇跡の出場は果たした桜井高校に近い。

エース古川君は確かに素晴らしい投手と言えよう。左腕でコントロールが良く、ストレートに力もある。しかし、上記のような下級生からチームの中心であった歴代のエースに比べると、場数が足りなく経験が少ない。しかし、その代わり、奈良大付属や大和広陵に比べて、攻撃力にはある程度期待できる。智弁の二枚看板に苦労しなかったし、近畿大会でも和歌山一位の和歌山東を古川君が打たれながらも逆転勝ちした。これまでの奈良の公立校にあったエースが打たれたら試合終了、という攻撃の絶望感は今年の高田商には無いかなと思う。桜井高校は甲子園で完全に浮き足立ち、投手、守備が崩壊したが、高田商はいつも通りやることが一番の課題となるだろう。


全国的な展望として、選抜に関しては今年は近畿勢の力が1つ抜けているかなと思う。私の個人的な法則として、奈良県智弁、天理が秋の時点で近畿ベスト8、ギリギリで選抜される年の近畿勢は強い。逆に天理が近畿大会で優勝してしまうような年は大阪桐蔭以外全く期待できない。今年は前者であり、しかも、履正社大阪桐蔭がアベック出場。この2校を止めることができるチームが全国でも見当たらない。また、ライバルとなる関東勢にあまり好投手がおらず、前評判の高い早稲田実業投手力に難がありすぎる。他の兵庫2校、滋賀学園も非常に力があるため、甲子園が昨年同様、近畿大会になる可能性も充分にあると思う。


ただし、特に選抜高校野球で近畿の高校がよく勝ち上がっている印象があるのはある意味当然なのである。出場校が他地域に比べて多いから。


選抜高校野球は名前の通り、各地域から指定されている枠数の高校を選抜して行われる。これは全国の東京、北海道以外の都道府県から一校ずつ勝ち上がった高校が出場する夏の甲子園とは全く違う。なので、今回のように大阪、兵庫、奈良から2校、京都、和歌山からは選出なしといったことが各地域で起きる可能性がある。それは私的には全く問題はないし、21世紀枠も私は賛成なのである。

問題はその各地域の出場枠の数である。これが地域格差が大きいと感じる。単純に高野連に加盟している学校数で比較してみると、

北海道:加盟校238←出場枠【1】
東北:加盟校404←出場枠【2】
関東:加盟校804←出場枠【4〜5】 
東京:加盟校273←出場枠【1〜2】
東海:加盟校434←出場枠【2】
北信越:加盟校314←出場枠【2】
近畿:加盟565←出場枠【6】 
中国:加盟校277←出場枠【2〜3】
四国:加盟校165←出場枠【2〜3】
九州沖:加盟校547←出場枠【4】

と近畿、四国が厚遇されており、東北、東海、関東は冷遇されていると言える。

近畿、四国は特に昔強かった頃があり古豪のファンも多い。私は四国に住んでいたこともあるが、高校野球熱も非常に高く感じた。近畿は地元で集客も見込める為ある意味しょうがない。しかし、東海や東北は特にかわいそうである。東海、東北大会で準優勝しないと選出されず、ベスト8や時には初戦敗退ですら地域性等で選出されてしまう近畿との差が激しすぎる。

昔は近畿や四国が強かったのかもしれないが、近年はそういった事も無くなった。北海道、東北勢は強いし、特に夏の大会は関東勢が上位を独占することも増えてきた。清宮君に代表されるスター選手や好投手も明らかに東日本に多い。近畿は特に夏の大会は大阪桐蔭以外1つ2つ勝つのがやっとで、そういった面でも不公平感が大きくなっている。枠が多いことでハングリー精神がなくなってしまったのか、近畿が神宮大会で優勝し神宮枠を取ったのは今年の履正社な初めて。神宮大会でも東日本勢の強さは毎回際だっている。


だからと言って私は近畿の出場枠を少なくしろとは言わない。そんなことをしたら、今年の智弁学園も高田商も落選していたし、常に近畿大会に三校出場する大阪や兵庫ばかり甲子園に行くことになってしまう。なので、近畿の枠はそのままで他地域の枠を
純粋に増やせばいいと思う。特に東北や東海はとりあえず1枠増してあげてほしいし、関東や最近頑張っている北陸も増やしてもいいぐらいだと思う。もしくは、神宮枠とは別に、前年優勝校のいる地域はその年の枠が増える等、甲子園の成績と連動させるシステムでも良い。とにかく、昔と違い、ある特定の地域が強かったり、人気がある状況ではなくなっている現代に、出場枠数も変化が必要である状況だと思う。


21世紀枠も賛否両論あるが、私はこれに関しては続けてもいいと思う。やはり私立に比べて公立は明らかに甲子園に出にくいし、思わぬ躍進をし大会を盛り上げてくれる時もある。ただし、三枠は多すぎるし、21世紀枠同士の初戦対決等はやはり萎える。さらに言うと、ただでさえ枠数が多い、近畿、四国から選ばれすぎ。東北も震災後は多いが、東海はもっと選んであげてほしい。


結論、参加校数を増やすことで、選抜もよりレベルが上がり、興業面でも良いと思うのだが。実際に甲子園に見に行くにしても、やはり3試合日より4試合日の方が得した気持ちになる。


今回の甲子園は神宮枠でさらに出場校が増えた近畿から優勝校が出る可能性が高いだろう。最も可能性が高いのが、大阪の2校。次に智弁学園、兵庫の2校。しかし、前回清宮君が出た時は露骨な早稲田実業よりの判定も見受けられた。早稲田実業が今回もその波に乗りあれよあれよと言う間に勝ち上がる可能性もある。


清宮君は本物のスラッガー。だからこそ、有利な判定とかすると逆に評価を下げてしまいかねないのでそういうのはやめてほしい。でも、これだけ高野連が特別扱いする選手はやはり成功する可能性が高い。私はあの大谷翔平が最後の夏に甲子園に出れなかった時、誰かお偉い方が甲子園の挨拶で花巻東の大谷君が見たかった的な発言をし炎上したことを最近思い出す。確かに叩かれて当然だが、今の大谷の活躍を見れば、ある意味先見の明があったことを評価せざる得ない。当時は藤浪の方が甲子園では凄かったし、まさかここまで大谷が完璧に成長していくとはなかなか当時皆考えられなかったはずである。そんな高野連から特別扱いされている清宮君はやはり凄い。

しかし、チームで言えば、早稲田実業より履正社大阪桐蔭の方が強いし、神戸国際、智弁学園滋賀学園も互角の力を持つだろう。清宮君も日大三校のエース桜井君に5打席連続三振する等、脆さもある。ちなみに、投手ではこの桜井君が私の今大会最も注目する選手である。 


何はともあれ、今回も非常に楽しみな大会になりそうだ。智弁学園は春連覇、高田商は初戦突破を目指して頑張ってほしい。